石川 友博さん 2000年度卒業 独立

石川友博建築設計事務所/.

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建築へのまなざし

現在の仕事

個人の設計事務所として住宅設計を中心に、店舗や各種施設などの設計を行っています。設計を考える際、常に心がけているのは、建築は必ず風景や環境の中に存在し、またその風景や環境を形づくる要素のひとつであること。そのため「個」だけを設計するのではなく、風景をかたちづくるものでもあるということを意識し、数十年後であっても建築された当初よりも美しく佇んでいることを意図しています。それは単に「キレイ」なものをつくるのではなく、時を経ても「美しく」あること、そのためには、磨きとがれた均整や素直な本質的なるものが備わっているべきだと考えています。そこに佇む建築がどうあるべきか、またどのように使われ、人に影響を与えていくかということを模索し追求しています。

在学中の学び

1年次は、基礎的な設計の図学を学ぶという課題からはじまった頃、線のきれいさや正確性を求められる課題の中で、自分の不器用さや手が遅いこともあって周囲の学生とのレベル差を感じ、不安を抱えていたことを覚えています。ただその中で友人と共に頻繁に建築を見に足を運び、また長期休暇中に旅などを通して出会うものに触れていく中で、空間への魅力や力強さ、また面白さのようなものを強く感じるようになってきました。2年次からは設計課題も本格的になり、四六時中設計課題と向き合っていた記憶が強く残っており、日々悩み、葛藤しながら作品をつくることを楽しんでいました。それは今の仕事と重なります。そして時間をみつけては古い町並み、新しい建築、細い路地や、早朝の寺社などへ行き、カメラやスケッチブックを片手に過ごしていました。大学の課題や授業だけが学びの場でないのが建築の面白いところです。

先輩からの一言

人は、そのときの立場やその時にしかできないことがあります。特に大学時代というのは、時間の使い方や日々をどのように過ごしていくかによって、これから進む道へ大きく影響していきます。どうありたいか、この先どのようなことをしたいのか、先の自分のあるべき姿に向かって、日々の学びや遊びも、今できることを精一杯やりきることが重要なのだと思います。現在、非常勤講師という立場で建築学科に携わらせていただいていますが、学生時代の立場からではみえなかった、先生方の学生に対する愛情や個々の能力への期待や熱意など、建築を学び、考え、刺激を受けるきっかけの場として、非常に恵まれた環境であると今、再認識しています。