学科紹介:応用化学科 教員LETTER

生物に学ぶものづくり

応用化学科 教授 棚橋 一郎 Ichiro TANAHASHI

昆虫などの生物の組織には、規則的で階層的な構造が見られる。このような構造をモデルに、ピコメートル、ナノメートル、およびマイクロメートルに至る階層的なバイオミメティック(バイオインスパイアード)複合材料を作製すること、および作製した材料を環境保全、エネルギー貯蔵、および医療に役立つセンサーなどへ応用し社会に貢献することを目的としている。具体的には、以下に示す3つのテーマについて研究を行っている。
@ 金属ナノ粒子材料の作製と応用
ガラスやプラスチック等の誘電体に分散した金(Au)ナノ粒子は、バルク(固まり)の金色とは全く異なる赤紫色を示すことから、ステンドグラスや陶磁器の絵付けに用いられてきた。近年、このようなAuナノ粒子に優れた(三次非線形)光学特性が見出されて、光−光スイッチを実現するためのキーマテリアルとして注目されている。私たちは、種々の方法で金や銀などの金属ナノ粒子を作製し、バイオセンサー(表面プラズモンセンサー)、発色材料、および光触媒材料などへの応用を目的としている。
A 炭素材料の開発と応用
電気二重層キャパシタ (EDLC) は、充放電特性に優れ、使用温度範囲が広く、さらにメンテナンスフリーな蓄電デバイスであることから、半導体メモリーのバックアップ用電源、二次電池や太陽電池と組み合わせた蓄電装置として広く用いられている。EDLCは、分極性電極(活性炭)と電解質との界面に形成される電気二重層容量を利用するものであり、その特性は、活性炭の性質に大きく影響される。私たちは、古紙や植物質から活性炭を作製し、EDLCおよび高活性な水処理剤への応用を目的としている。
B 化学生態学
昆虫(特に蝶)の構造や生態に関する基礎研究を行っている。このような研究から得られた知見(撥水性、翅の光学特性、におい)を工学(材料設計等)への応用を目的としている。


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