学科紹介:環境工学科 教員LETTER

利き水体験集計結果

環境工学科 准教授 笠原 伸介 Shinsuke KASAHARA

昨年は、私が専門とする水処理や飲み水をテーマに、「水都おおさかフェスティバル」や「工学実感フェア」など、いくつかの市民向けイベントに出展しました。ここでは、昨年11月の工学実感フェアで利き水体験を行った際に実施したアンケートの集計結果をお知らせします。利き水体験はこれまでにも何度か実施しましたが、このようにアンケートを取ったのは今回が初めてです。

体験者の方には、まず3種類の水を飲んで頂き、「@一番おいしい」と感じたものと「A一番まずい」と感じたものをそれぞれ挙げて頂きました。その後で、どれが大阪の飲み水かを予想して頂きました。回答者数は約600名でした。用意した水とアンケートの集計結果は次のとおりです。

<用意した水>
●フランス某所の地下水。硬度1,468mg/L。
●鳥取県奥大山の地下水。硬度20mg/L。
●淀川の高度浄水処理水。硬度45mg/L。

<アンケートの集計結果>
「@一番おいしい」と感じた水
1位 鳥取県奥大山の地下水 335票
2位 淀川の高度浄水処理水 228票
3位 フランス某所の地下水 48票
「A一番まずい」と感じた水
1位 フランス某所の地下水 484票
2位 淀川の高度浄水処理水 53票
3位 鳥取県奥大山の地下水 44票

さすがに普段飲み慣れていない硬水(カルシウムやマグネシウムを多く含む水)は多くの人が見分けられたようで、淀川の水とも味が違うとの意見が多く出されました。一方、軟水どうしの比較はなかなか難しかったようで、高度処理された淀川の水はミネラルウォーター(S社)顔負けの票数を獲得しました。ただ、この高度処理水は、大阪市の浄水場で製造された水を熱処理(殺菌)してボトル詰めされており、最も敏感に感じ取ることのできるカルキ臭は含まれていません。実際に各家庭に供給される水道水は塩素消毒されていますので、蛇口から出る水道水を使って同じアンケートを行っていたら、また違う結果になっていたでしょう。

今回の結果は、普段感じる水道水の味やにおいの多くは、消毒や水道管の汚れに起因することが多く、水そのものの質は、私たちが感じ取ることができないほど非常に高いレベルであることを示しています。蛇口をひねったら安心して飲める水が当たり前のように出てくる。このことが如何に素晴らしいことかをできるだけ多くの方に考えて頂けたらと思います。

イベント風景(その1)

イベント風景(その1)

イベント風景(その2)

イベント風景(その2)


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