可愛いアイドルや素敵な演技をする俳優、あるいは、面白いマンガの作者だとか、著名な研究者だとか、気になる人はいますか? 気になる人と直接は面識がないけれど、何とかして、会って話をしてみたいと思うことがありませんか?
遠い存在の、あこがれの人・・・。
でも、もしかしたら案外、つながっていたりするようです。
■スモールワールド現象
知り合い同士を芋づる式に6人つなげたら、自分と世界中の人達はみんなつながっているという仮設があります。その説は、六次の隔たり(Six Degrees of Separation)と呼ばれています。本当に六次なのかどうかはまだ解明中ですが、「人のつながりにおいて世間は狭い」 という状況を一般に、スモールワールド現象(small world phenomenon)とも言います。
スタンレー・ミルグラム(Stanley Milgram)は、1967年に発表した「The Small-World Problem」という論文の中で、〈ある地域の多数の住人が、見知らぬ同じ人に知り合いを通じて郵便物を差し出す場合、何人の人を介して届けられるか〉を調べた実験の結果を示しました。平均すれば約6人を介して郵便物が届いていました。アメリカ国内に限った実験でしたが、六次の隔たりを実際に明らかにしたのです。
■ディズニーのスモールワールド
ところで、この論文が発表される少し前の1964年に、ニューヨーク世界博覧会でウォルト・ディズニー(Walt Disney)がユニセフのためにアトラクションを制作しました。それが、1966年にカリフォルニア州アナハイムのディズニーランドに移設されました。”it's a small world”です。1962年にシャーマン兄弟によって作詞・作曲されたアトラクションのテーマソングの題名がアトラクションそのものの名前にもなっています。
このアトラクションは、「人種や国籍に関係なく、子ども同士のように平和に、狭くつながっている世界」をテーマにしたものです。
1967年のミルグラムの論文にSmall Worldという言葉が使われたのは、単なる偶然とは思えません。ディズニーランドのアトラクションとそのテーマを踏まえた上での命名だったのではないでしょうか。
■スモールワールド・ネットワークを深めよう
環境や地域のための草の根ネットワーク、SNS(ソーシャルネットワークシステム:Facebook、Twitter、Mixiなど)、そして、マルチ商法も、人と人とのつながりに基づく仕組みです。人のつながりは大切だけれど、危ういものでもあります。
六次のつながりで世界中とつながっていたとしても、深い付き合いができる訳ではないので、貧困や戦争の犠牲になっている人達のことを考え続けることは難しいものです。それでも、時には少しだけ、気持ちを向けることがあってもいいですね。
それから、今、一次で直接つながっている人との絆を大切に、学校のOBなどのように二次や三次でつながっている人とも直接仲良くなる機会を持って、豊かな人間関係を築くことができればいいですね。
いつか、あこがれの人とも親しく話せるかも知れませんよ。
最後に、It's a Small Worldの歌詞のサビの部分を書いておきます。東京ディズニーランドでは、「世界はせまい 世界はおなじ 世界はまるい ただひとつ」 と歌われています。
It's a small world after all It's a small world after all
It's a small world after all It's a small, small world