環境工学科では昨年からインドネシアの国立パランカラヤ大学と国際PBLプログラムを年1回開催しています。本年度は2月に開催され、環境工学科の学生がインドネシアに渡航し、現地でパランカラヤ大学の学生と共同で、熱帯泥炭湿地林のフィールド調査と環境計測を行いました。私は引率教員の一人として参加しました。
調査のテーマとしたのは、(1)水銀汚染、(2)森林火災、(3)バイオ燃料です。(1)現地では川の底泥から金を採掘して生活している人々がいます。金を精製する際に、大量の水銀が使われ、それが環境中に放出されている問題を調査しました。(2)熱帯泥炭湿地林という森林には、土壌に大量の有機物が泥炭として蓄積されていますが、これが乾燥化して火災が起こると、大量の二酸化炭素が大気に放出されてしまいます。火災は非常に広範囲で発生しているため、火災跡地を人工衛星画像やドローンの空撮画像を使って調査しました。(3)熱帯の未利用の生物資源として、石油に近いオイルを大量に作る植物プランクトンがいます。この植物プランクトンを利用すれば、石油の代替エネルギーを作ることができるかもしれません。遺伝資源の採取と生育環境調査を行いました。
こうした環境問題や生物資源の可能性について、机上で知識を得ることは容易ですが、実際に現地で見る体験をする機会はなかなかありません。わずかな期間ではありますが、自分の目で見て調査することで、一生忘れない記憶として残ると思います。また、想像だけでは得られなかった現地の状況等について、新たな知見も得られることでしょう。
学生の皆さん!ぜひこうした貴重な機会を積極的に利用し、自分の知らない世界を覗いてみてください。