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触媒化学

catalytic chemistry

はじめに

現在の有機合成反応において非常に重要な役割を担っている触媒は,溶媒に溶解した状態で作用する均一系触媒と,溶媒に溶けずに作用する不均一系触媒の二つに大別される.
均一系触媒は,高い反応性と選択性を有するために多くの反応に利用されるが,反応後に触媒を反応系から分離することが難しい.
一方,濾過により簡単に分離できる不均一系触媒は,均一系触媒と比べると反応性が低いという問題点が挙げられる.

近年,グリーンケミストリーの観点から環境への負担の少ない有機合成プロセスの研究が盛んに行われている.
その中でも,無毒・無害なだけではなく,通常用いられる有機溶媒に比べて極めて安価である「水」を溶媒とした反応は特に注目されている.
一方,擬均一系触媒として金属ナノ粒子が注目されており,様々な金属ナノ粒子を用いた水中での有機合成反応が数多く報告されている.
しかし金属ナノ粒子は凝集しやすいため,回収・再利用が困難である.
このような観点から,我々は「水中での様々な反応に高活性を示し,さらに再使用も可能である触媒」の開発を目指した研究を行っている.


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最近の主な研究テーマ:

 「簡単・使いやすい」をキーワードとした高機能性触媒の開発と水中での触媒活性評価

有用な触媒系が種々開発・報告されているが,多くの場合,高度に設計された配位子や担体を必要とし,利便性が高いとは言いづらい.
そこで我々は,水中で高活性を示し再利用が可能な"使いやすい触媒"の"簡便な調製方法"を種々検討している.

  これまでに直鎖ポリスチレンを担体とした金属ナノ粒子,およびカチオン性高分子とアニオン性高分子のポリイオンコンプレックスに安定化されたPdナノ粒子の調製に成功しており, これらは水中でのカップリング反応に高活性を示し,再利用も可能であることを確認している.

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