イタセンパラとは


 
イタセンパラは、富山平野・濃尾平野・淀川水系の限られた水域にのみ分布する、わが国固有のコイ科(タナゴ類)の淡水魚です(最大約10cm)。平べったい体形と、大きな背びれ・しりびれが特徴的です。体色は、背中に青みをおびた銀白系ですが、産卵期(9〜11月)のオスには、青紫、赤紫や黒色の美しいがあらわれます。

 産卵期のメスは卵を抱くと、産卵管(乳白色)が腹部に伸びてきます。メスは産卵管を巧みにつかって、イシガイやドブガイなどの二枚貝に産卵します。秋〜翌春を貝の中で過ごしたイタセンパラは、初夏、貝から泳ぎ出て急速に成長し、その年の秋には産卵するという独特の一生を送ります。貝から泳ぎ出してしばらくは、動物プランクトンなどを食べて育ちますが、成魚は石などについた藻類などを食べ、2年ほどの寿命をおくります。



主要な生息地は大阪のど真ん中!


 イタセンパラは、本来、はんらんなどによって河川の周辺に生じた「わんど」とよばれる池や湾など、流れのない場所を好んですんでいました。しかし、戦後の急激な環境の変化によって、生息場所は次々となくなり、現在、全国の分布域において、イタセンパラの姿はほとんど見られなくなりました。絶滅のおそれがきわめて高い状況です。

 大阪の中心部を流れる淀川には、かつて、明治〜昭和初期につくられた「」がもととなって生じた多くのわんどが連なり、わんど群として存在しました。現在、わんど群の形をとどめているのは数カ所に過ぎませんが、そこは全国的にもイタセンパラの主要な生息地です。しかし、それらにおいても、ゴミが投げ込まれるなど生息環境の悪化が進み、早急に改善しなければならない状況になっています。


イタセンパラとその生息環境としての淀川わんど群は、後世に伝えるべき貴重な財産です。


新たな問題―違法な捕獲・飼育─


手厚く保護されているイタセンパラですが、残念ながら、一部では違法な捕獲や飼育が絶えません。生息数が極端に減ってしまった現在、たいへん大きな脅威となっています。



個人の違法行為が、イタセンパラを絶滅に追いやることにつながるのです。


今こそ、あなたの協力を!

 保護増殖事業の目的は、イタセンパラが人の手をはなれ、自然の中で安定して生き続けることのできる環境の回復です。イタセンパラは、淀川の生態系の中で、さまざまな環境と複雑な関係を持ちながら生活しています。事業目的を実現させることは、淀川の良好な生態系を回復させることであり、それを取り巻くみなさんの協力がなくては考えられないのです。

 以下にご協力ください。

●イタセンパラの産卵に必要不可欠なイシガイやドブガイなどの二枚貝を大切に!

●次の世代を育むために、水辺を群泳する種々の稚魚を大切に!

●オオクチバス(ブラックバス)など生態系のバランスを乱す外来種を、むやみに放流しない。

●水質や底質を著しく悪化させるゴミなどは、必ず持ち帰りましょう!

●イタセンパラの密漁や販売などの違法行為を見つけた場合は、下記の連絡先あるいは最寄りの警察に連絡してください。

 イタセンパラの美しい姿を水辺に見つけることのできる自然・社会環境を育むために…

 みなさんのご協力をお願いします。



イタセンパラに関する問い合わせ・連絡先

環境庁近畿地区国立公園・野生生物事務所

6470043 和歌山県新宮市緑ヶ丘2420

TEL 0735220342   FAX 0735231344

大阪府環境農林水産部緑の環境整備室

5408570 大阪市中央区大手前2122

TEL 0669410351(内27452746)   FAX 0669446749

大阪府教育委員会文化財保護課

5408571 大阪市中央区大手前2122

TEL 0669410351(内3493)   FAX 0669446910


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