研究種目:基盤研究(C)
研究機関:平成22年度〜平成24年度
課題番号:22560286
●研究の目的(概要)
電気自動車の普及には急速バッテリー充電システムが必要不可欠となっている。
これら充電システム実現には、大容量・高効率・高力率AC/DCコンバータが求められている。
また大容量急速充電システムが複数個稼動することによる電力系統への影響低減や超急速充充電への対応も必要となる。
本研究では、三相を用いて大容量化、コンバータのスイッチング回数を大幅に減らすことで高効率化、
入力電流波形を工夫することで三相結線により高調波を抑制し高力率化を実現する。
また内部蓄電装置による充電アシスト機能を付加することで複数個稼動時の影響低減、超急速充電に対応できるシステムを提案した。
これらの有用性を明らかにするのが目的である。
回路図 | 入力電流波形 |
入力波形と3次高調波重畳波形 | システム図 |
●研究の学術的背景
近年の二酸化炭素排出抑制や、地球環境問題の高まりにより、二酸化炭素を排出しない電気自動車の
開発が進められている。現在のところ、電気自動車の最大欠点は、一回のバッテリー充電での走行距離が短いことであるが、
それを補う技術としてプラグインハイブリッド車などが研究されている。
これら電気自動車やプラグインハイブリッド車の実用化には、バッテリー充電システムが必要であり、
特に走行中のバッテリー切れなどに対処するためには、急速バッテリー充電システムが必要不可欠である。
バッテリーの急速充電を実現するためには大容量の三相AC/DCコンバータが必要である。
また、AC/DCコンバータは、近年のEMCなどの関係で電源高調波の抑制が求められている。現在の研究では、
半導体スイッチのON、OFFのタイミングにPWM技術を使う事で高調波抑制を実現し、
更なる高性能化のためにスイッチングの高周波化が行われている。
スイッチングの高周波化に伴い、半導体でのスイッチングロス増加が効率を悪くするなど新しい問題も発生しており、
ソフトスイッチング化などによってスイッチングロス低減が進められているが、その一方で回路が複雑化している。
従って、簡単な回路構成で、高力率化、高効率化が実現できるのが望ましい。
これまでに、従来のPWM技術を利用しつつ、スイッチングを工夫することにより高効率化を実現する回路として、
特に発生する電流波形を工夫することによって、半導体スイッチのスイッチングを一定期間休止させながら、
三相化することで所望の高力率特性を維持する方式を提案してきた。
この方式は、スイッチング回数を減らすことでスイッチングロスの低減が実現できる。
この回路を大阪コンバータと名づけ、小容量の高効率三相PFCコンバータとして研究発表を行ってきたが、
これをバッテリー急速充電回路として適用する。この回路は三相電源を使用するため大容量化が容易であり、
また高力率、高効率の特性はバッテリー急速充電器に必要な条件を十分に備えており、
実現回路の一つとして大きく期待できると考えられる。
●研究
「バッテリー急速充電用大容量高効率三相PFCコンバータの設計と作製」
「充電アシスト回路の設計と作製」
「回路およびシステム特性評価」