創発

創発とはエージェント同士が局所的な相互作用を持つ事によって、全体として見ると複雑な秩序やシステムが生じる現象の事です。簡単に言いますと、エージェント同士が相互作用している内に得られる、予想がの発見です。マルチエージェントシステムの研究を行う上で、創発を得る事が醍醐味の一つと言えます。

ここで、簡単に創発について図を用いて説明しましょう。ここではファッションを例としてとりあげます。



青色エージェントはある時、ただの破れたジーパンを気に入って購入しました。それを見た友達の赤と緑色のエージェントは、破れたジーパンに興味を持ち、青の影響を受けて同じものを買う事にしました。



同じ破れたジーパンを履いていると、それを見た黄・橙・桃色エージェントはそれぞれ破れたジーパンに興味を持ちました。ここまでで、青色達のエージェントは周りに影響を与え始めているのがわかります。



皆が破れたジーパンを履いている事に気づいた水色エージェントは、人気のジーパンなんだと思い、同じジーパンを買おうとしています。初めはただ単に青色エージェントが気に入っただけの破れたジーパンでしたが、いつの間にか人気のジーパンになってしまいました。



この例のように、色々な要因が絡み、エージェント同士が互いに影響した結果、破れたジーパンが人気のジーパンなった思いがけないこの現象を創発といいます。


上記の例は、あくまでも創発の一例であり、実際にはもっと複雑で難解なものです。しかし、創発で得られる現象や結果は、時として研究者の予測を超える新たな発見に繋がる可能性も秘めています。マルチエージェントシステムの研究を行う上で、この創発は欠かせないテーマなのです。