大阪工業大学 工学部 環境工学科 地域循環研究室


福岡研究室 / Local Sustainability Laboratory

ごみは社会を映す鏡だから

gomicho.jpg

ごみ調査の意義

ごみの発生をくい止めたり、排出されるごみを資源としてリサイクルしたり、どうしてもごみとして残ってしまうものを処理するためには、実際のごみを知らなければなりません。どれくらいの量のどのようなものを取り扱うのかが明らかになって初めて、ごみの管理ができるのです。
そこで、実際のごみをいくつかの区分に分け、それぞれの区分で重さや嵩(かさ)を調べる「ごみ調査」を行います。

研究室で取り組む理由

gomicho2.jpg年に数回、研究室のメンバー全員が参加して「ごみ調査」を行っています。調査項目は、各回で同じ場合もあれば異なる場合もあります。
ごみを本当に知って、対応を考えるためには、様々な項目についてその実態をしっかりと見る必要があるからです。それに、汗をかくことをいとわず調査に取り組むことが、職業人として就業していく学生にとって、貴重な経験になるからです。

調査の歴史

大学などの研究機関だけではなく、ごみ処理を担う市町村でも、「ごみ調査」を行っています。1970年代に始まり、その後、目的によって調査方法を少しずつ変えながら続けられています。
1977(昭和52)年に厚生省水道環境部(当時)から出された「LinkIcon一般廃棄物処理事業に対する指導に伴う留意事項について(環整95号)」という文書が発端となって、市町村などのごみ処理施設で現在も行っている調査があります。1977年より以前からも、東京都などのようにごみの対応に困っている市町村では先行して調査を行っていました。これらの調査は、ごみを焼却する場合に必要な情報を得るための調査で、ごみを6区分程度に分類するものです。
1981(昭和56)年に京都市で、大型ごみを除く家庭ごみを紙類や金属類などの成分と使用用途に分けて117項目に分類する調査が始まりました。その後、分類項目を追加し、現在は350項目以上の分類で重量と嵩(かさ)を計量しています。このような調査は、京都市で細組成調査、他所では組成詳細調査や詳細組成調査などという名前で実施されています。

世界のごみ調査

malaysia400.jpgmalaysia400.jpgごみは、1年365日ずっと、世界中で発生しています。先進国でも新興国であっても、ごみは排出されます。ですから、「ごみ調査」も世界中で行われています。
私たちも、いくつかの国で調査を行っています。右の写真は、2010年にマレーシアで行った「ごみ調査」で、家庭から排出された手を付けずに捨てた食品廃棄物です。食材や料理法は異なりますが、古くなったり使い残して捨てる行為に、国や民族の違いはないかもしれません。

失敗要因と課題

fishbone.pngfishbone.png「ごみ調査」は、一見すると、簡単な調査のように思われます。けれど、調査対象のごみをどのように入手するか、どれだけの試料を調査するか、どのように分類するかなどを十分に検討して、準備をしなければ失敗します。
右の図は、調査の失敗要因を整理したものですので、「ごみ調査」を実施する場合の参考にしてください。(図をクリックすると、PDFファイルが開きます)