履歴書 自己紹介欄・エントリーシートを書く前に
−自分に関する情報の収集(自己分析)と表現(事実の説明)−
自分のことは自分が一番よくわかっている、と誰もが考えているはずだ。それなのに、履歴書の自己紹介欄に何を書けばよいのか迷ってしまう人が多いのはなぜだろうか。二十数年という、それなりに長い時間を生きてきたはずなのに、わずか数百字分の自己紹介欄が埋められなくて困り果てる人が多いのはなぜだろうか。
頭の中だけで「わかっている」ことと、第三者にことばで説明することは別次元だからである。就職活動を機会に、頭の中に渦巻いていることを一度外に出してみよう。外に出すとは、他者に向かって自分に関する事実を集め、言語化すること(ことばで表現すること)だ。
次のような手順で、「自分自身に関する情報収集」と「自分に関する情報の表現」をしてみよう。
【自己分析】
1 以下の項目を参考にして、自分について思いつくことを箇条書きしてみる。
@性格、行動、対人関係、健康体力
A得意科目、特技趣味、好きなもの、
Bクラブ活動、サークル、アルバイト
C今までの人生におけるエピソード、事件
2 友人・先輩・家族など身近な人に聞いてみるのもよい。
1を見せて意見を聞いてもよい。
3 書き出したもののなかからひとつを選び出し、それを裏付ける具体的な根拠(出来事)を考える(できるだけ個別具体的なことが良い)。
一般論・抽象論ではなく、自分の具体的な経験(事実の記述)を書くように心がける。
4 第一文で結論を示し、3の具体的説明を続ければ、自己紹介欄ができあがる。
5 できれば自分の「キャッチコピー」を考え、それを第一文におくと効果的である。
例 特技 キャッチコピー
計算が速い → 歩く計算機(人間電卓)
補足
1・2について
* 思いつく限りのことを書き出す。「こんなことはつまらない」などと、評価はくださない。自分ではつまらないと思うことでも、他人から見ればそれが立派な長所である場合も多いからである。とにかくできるだけたくさん書き出す。
* 長所だけでなく、短所を書き出してみるのも多面的に自己分析できる一つの方法だ。
* 頭のなかで考えるのではなく、必ず紙に書き出す。
* 書き出したものを目につくところに張り出して眺めるとよい。様々な連想が働いて項目が増えていくはずだ。
* 特に記憶に残る体験や、出来事があればそれも書き出してみる。
3〜5について
* 自己紹介欄の第一文にキャッチコピーをおくことで、人事担当者に「オヤ!?これは…」と思ってもらえる可能性が高くなる
* 友達同士で「キャッチコピー」を付け合ってみてもよい。
* ワープロ入力し、データ保存しておく(せっかく思いついたことを忘れないため)。
何度も同じ作業を繰り返せば、「あなた自身に関する立派な資料集」ができあがる。一度、言語化してデータとして残しておくと、面接の前に読み返して考えを整理することもできる。
【事実の説明】(メモ作成から清書まで)
1 自己分析を「事実」に基づいて箇条書きする(メモ)
2 メモをもとにワープロで下書きする
清書用用紙に手書きした場合の1行字数を基本に、総字数を決める。
1行30字程度が望ましい(あまり大きすぎる字や、細かすぎる字は避ける)
3 2をもとにして清書する
黒のペンまたはボールペンで記入する
修正液は使わないで、何度でも書き直す
4 以下の点検項目に従って点検修正する
点検項目
形式要件 |
チェック欄 |
文字のおおきさはそろっているか? |
□ |
読みやすい丁寧な字になっているか? |
□ |
句読点をはっきりとつけているか? |
□ |
用紙の用い方は適切か? |
□ |
不必要な空白はないか? |
□ |
文体は統一できているか? |
□ |
自己点検表の項目は守れているか? |
□ |
内容 |
チェック欄 |
最初に結論をしめしているか? |
□ |
要点を一つに絞っているか? |
□ |
二つ以上のことを並べていないか? |
□ |
具体的事例を挙げているか? |
□ |
反社会的内容になっていないか? |
□ |
否定的な内容になっていないか? |
□ |
エントリーシートの具体例については『言語表現技術ハンドブック』(晃洋書房、2005年4月刊、定価1600円)を参照のこと
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