不正競争防止法における店舗デザインの法的保護のあり方について

土井 典子

激化する市場競争の中で、商品・サービス提供者は一般消費者にアピールするために商品開発や店舗開発に多くの費用・労力を費やしている。顧客誘引力において大きな力を発揮し、企業価値を高めることに寄与する店舗デザインについて、これまで我が国では保護が明確化されていなかった。本論文では店舗デザインが不正競争防止法の営業表示となりうる可能性が示唆された判例の出現を契機に、店舗デザインを保護する米国のトレードドレスの法理及び代表判例、我が国の主要判例と店舗デザイン保護の意義、知的財産各法による保護の可能性とその限界領域、及び不正競争防止法の本旨を検討した上で、不正競争防止法による店舗デザイン保護の可能性を提起するものである。