大学研究者の研究成果の公表と特許出願 
〜グレースピリオドの統一についての考察

村田 千代

 現在、大学は産学連携活動が求められ、積極的に「知」を特許化し、産業の発達をもたらすと同時に、技術移転を行い、研究費を独自で賄うことを求められている。研究成果をいち早く論文や学会で発表することを責務とし、自らは特許を実施しない大学研究者と大学にとっては、発明を開示することによって排他的な特許権を取得することは相反する行為である。30条の制限の緩和を求め続け、そして究極的には、米国式の1年間のグレースピリオドの世界的調和が求められている。先発明主義式のグレースピリオドを先願主義の我が国に導入することが研究者としてのPriorityと研究資金としての特許が得られる制度であるのかを考察する。