行政指導によるパテントプール形成と独占禁止法

小林 心

パテントプールは技術の普及発展を促す手段として近年注目を浴びている。政府が行政指導により複数事業者に働きかけ、パテントプールの形成を促すという政策手段は検討に値する方法であると考えられるが、この手段は独占禁止法上問題となるおそれもある。そこで本論は、@パテントプールの競争制限性の有無、A独占禁止法第21条による適用除外の可否、B行政指導による違法性の阻却、C独占禁止法の「公共の利益」の解釈、の4つの論点について研究し、この政策手段についての独占禁止法上の問題を考える際の判断プロセスをまとめ上げ、最後に5つの架空事例についてこの判断プロセスに基づき違法合法を検討した。