x86系CPUに係る私的独占事例(インテル事件)の検討と考察

石山 雅洋

 本研究は、インテル社が行ったリベートの供与が私的独占とされた審決、通称インテル事件について考察を行うものである。リベートは適法な価格競争としての側面を持つと同時に、インテルのような支配的な企業によるものは私的独占形成のための手段としての側面を持つ可能性がある。
 私は、リベートの提供が他の競争事業者を排除することになるかの排除該当性を判断する場合は、以下の三点を軸に判断する必要があると考えた。(1)リベートの基準 (2)排他的取引の基準 (3)競争の実質的制限の成立これらを検討した結果、インテルが採用したリベートは、ライバル企業の排除や参入の阻止を目的としているとみるのが自然であるという結論を導くことができた。