判決から見る標準必須特許の態様 ―日本企業の経営方針への考察―

知的財産研究科修了生

 5Gが標準化団体により標準必須特許(SEPs)として扱われることになった場合に、日本企業はどのような対応で臨むことが好ましいのかという問題意識の下、標準必須特許の態様について、定義や米国・欧州・日本の判例を交えて現在の位置付けを結論付け、標準化という環境の基で採り得る立場と戦略を提起する。結論として、現在までの判例でSEPsが大きな利益を生まない点、経済産業省が「標準必須特許のライセンス交渉の手引き」を発行し実施者を後押しする内容がうかがえる点、これらを考慮すると、日本はSEPsに参加するのではなく、標準が生む環境を享受することで新たな市場の開拓又は日本特有の高精度の部品や素材を製作する能力をもって、オープン&クローズド戦略の実現に力を入れるべきである。