不正競争防止法における営業秘密に係る刑事事件(刑事罰)について

知的財産研究科修了生

Criminal Cases (Criminal Penalties) Pertaining to Trade Secrets Under the Unfair Competition Prevention Act

近年、企業の営業秘密を持ち出し、逮捕されるという事件を、テレビなどのニュースで目にすることが多くなった。営業秘密は、不正競争防止法によって保護されている。日本で、この法律に営業秘密に係る不正競争行為に対する刑事罰規定が導入されたのは、平成15年であるが、裁判例の数は諸外国と比べて少ない。ノウハウなどを営業秘密としている企業にとって、営業秘密が外部に漏れだすことは、企業活動を行う上でも死活問題になりかねないが、なぜ刑事事件の裁判例は少ないのか、これについての考察を行う。また、刑事罰規定の中心である法21条1項3号について、この規定が持つリスクと、目的要件の解釈についても考察を行う。