均等論の法理

知的財産研究科修了生

クレーム解釈の法理の一つとして挙げられる均等論の法理として、根拠、要件、判断の枠組ともに様々な考え方が存在し、今後の運用の統一が望まれる重要な法理である。要件に関しては、ボールスプライン事件判決において5つの均等の要件が示され一応の決着をみたが、判示された要件を具体的事例にどのように適用し、判断を下すのかという点は未解決である。
本稿では、上告審判決で示された5つの要件を確認し、判決以後下級審において当該要件がどのように適用され、判断を下されたのかという点を、いくつかの判例を基に検討する。その後、近年の侵害訴訟における均等論の法理の使用状況等を分析した後、その有用性について私見を述べる。