特許侵害訴訟における差止請求等の準拠法についての考察

三原 雄一

我が国の特許侵害訴訟における準拠法についての規範は、FMカードリーダー事 件最高裁判決(最判平成14年9月26日)だといわれているが、当該最高裁判決 の論理構成について法学者から様々な批評がなされている。特に、特許権に基 づく差止請求等の準拠法についての判断については問題視されている。そこで 、本稿では特許権に基づく差止請求権等の準拠法に焦点を当て、当該事件の 一連の判決に関する学説を整理し、その上で当該最高裁判所が下した判断に ついて再考した。検討にあたっては、FMカードリーダー事件最高裁判決が示した 規範の適否を分析検討し、準拠法決定機序における特許権侵害に基づく差止 請求の固有の問題について論じた。