不正競争防止法二条一項一三号の原産地誤認表示の意義―裁判例にみる原産地誤認表示の判断基準の分析―

知的財産研究科修了生

 原産地表示は、一般的に商品を購入する際の重要な情報である。原産地について誤認表示が行われれば、不当な需要が喚起され、公正な競争秩序が乱れることとなる。しかし、「瀬戸物」、「薩摩いも」のように地名が普通名称となっている場合や、明確な打消表示等があれば、原産地誤認表示と判断されることはない。我が国における原産地表示を取り巻く法的規制は、不正競争防止法によって事業者間の適正な原産地表示等の法的実効性を図っている、と考える。しかし、具体的にどのような表示が全体的に見て原産地誤認表示に該当するか否かが明らかではないため、裁判例を通じて原産地誤認表示の判断基準について明らかにしようとしたのが本論文である。