公正使用(フェアユース)を巡る日米著作権紛争事例の比較研究

岸 史子

日本の著作権法では、私的使用の為の複製など、著作権法規定されている行為については著作権侵害にはならないとする「権利制限規定」が採用されている。一方米国著作権法では、一定の条件(@使用の目的及び態様・A著作物の性質・B使用の量及び実質性・C市場に対する影響力の4要素)を満たせば著作権侵害にはならないとする「公正使用(フェアユース)の法理」という判例法に基づいた規定が存在しており、デジタル・コンテンツ等新しい著作物に対して柔軟に対応している。本論文では、日米の規定を説明し、フェアユースが取り上げられた判例を比較し、最後に日本の著作権法へフェアユースを導入することの可否について述べる。