特許権消尽の比較法的研究

高田 実奈

特許権消尽、特に特許製品の修理、再生産の問題について取り上げる。日米欧各国の主要な判決や従来の議論の状況を概観し、比較検討を行うことにより、日本における消尽理論の課題解決のためのヒントを探る。その方法として、日本のインクカートリッジ事件を題材に、米国及びドイツにおける修理、再生産の問題に対する判断基準をあてはめた場合、どのような判断がなされるかについても考察した。 比較検討の結果、日本における今後の判断においては、「耐用期間」を重視した判断を行うのが良いと考える。また、新たな製造にあたるかどうかの判断においては、加工・交換される部材が本質的部分に関するか否かを考慮すべきではないと考える。