不正競争防止法における営業秘密の民事的保護 −不正競争防止法4条および5条に基づく損害賠償額の算定について−

知的財産研究科修了生

我が国企業の産業競争力を維持するためには、競争財の一つである営業秘密の保護を強化する必要がある。営業秘密はその複雑な性質上、侵害行為の有無や経緯、損害との因果関係を立証することが極めて困難である。不正競争防止法4条の損害賠償責任規定および5条の損害額推定規定が設けられているが、これらに基づく訴訟制度が活用されるためには、企業の立場ではどのような方策により最大限損害を回復することが可能か、ならびに裁判所・立法の立場では我が国企業を支える重要な営業秘密を保護するために、被侵害者の立証負担軽減をどのように図るべきか、4条および5条の規定ならびに裁判例を分析、検討した上で提言を行う。