不正競争防止法における営業秘密の秘密管理性について 〜秘密管理性の範囲明確化〜

大江 史佳

近年、営業秘密が流出する事件が相次いでいるが、原因の1つとして、秘密管理性の範囲が不明確だからであると考察する。本論文は、営業秘密の要件である秘密管理性について争われた厳格期以降の裁判例を分析、検討し、秘密管理性を明確にする条文を立法することを試みた。具体的には、ルールとスタンダード理論によるスタンダード形式で、秘密管理性要件の1つである客観的認識可能性に沿った条文を立法することを試みた。結論として、分析、検討した裁判例における裁判所の判断は13種類に分けることができると考察し、当該13種類の判断の中から「管理場所・保管場所」、「情報の処理状況」について立法案を挙げた。