応用美術の著作物性について

岡田桃子

平成27年4月のTripp TrappⅡ事件の控訴審判決により、意匠法で保護されていた応用美術は、特別な要件を課すことなく創作者の個性が表されていれば、著作物として認められ著作権法で保護され得るようになった。かねてから著作権法と意匠法の交錯領域について現在まで様々な議論がされているが、このTripp TrappⅡ事件により著作権法と意匠法の交錯領域はさらに曖昧さを増すこととなるだろう。そこで、応用美術について議論されてきたことについて整理し、応用美術についてどのような法的保護が適切であるのか、また、技術の進歩や時代の変化等の観点から著作権法、意匠法がどうあるべきか今後の課題について検討する。