パロディ保護に関する考察

知的財産研究科修了生

パロディは大衆文化の発展に重要な役割を有することから、我が国の著作権法において、パロディの利用の拡大を認容するための様々な理論が提唱されている。翻案による解釈論は、ドイツ法の内的距離論の考えを用いて、パロディが翻案権の侵害にならないと解釈する。引用による解釈論は、パロディ・モンタージュ事件で示された引用の要件に基づきパロディを許容することも可能と解釈する。本稿では、これらの解釈論に加え、パロディ本来の求める自由な表現の確保を正面から取り上げたフランスのパロディ規定を我が国に導入する提案も検討している。以上の様々な理論を参考にしながら、新しいパロディ文化を積極的に保護するための対応を考察した。