職務著作制度で法人等を原始的に著作者とすることに対する正当性について

知的財産研究科修了生

職務著作が成立すると法人等が著作者となり、著作権及び著作者人格権を保有する。事実行為としての創作活動を行っていない法人等を著作者と認めてもいいのだろうか。本稿はこれらの点を実務的観点と法律的観点から論じたものである。まず職務著作制度の立法趣旨を概観した。そして海外の著作者人格権の性質と日本法における著作者人格権の性質を比較した。その後著作者人格権・著作権の性質と職務著作制度の関係について明らかにして職務著作制度が抱える問題点を抽出した。法人等と創作者との関係について検討した後に職務著作制度が果たす役割を考察した。