不実施補償契約に関する問題点と産学連携従事者に対する意識調査

知的財産研究科修了生

大学と企業が共同で保有する特許権の不実施補償には法的根拠が存在せず、ただ企業ー大学間の契約のみによって成立しているものと思われる。本稿では、「大学が共同研究費の増額や共同研究の継続といった研究行為自体への利益を得ることと引き換えに不実施補償の免除や減額を行うこと」を提言する。実際に大学の産学連携本部等の関係者に対し、①共有特許を出願する目的、②研究行為自体に駅が大きいことが、不実施補償の免除や減額の条件となるかということについてアンケート調査を行った結果、共有特許を出願する目的として「不実施補償の獲得」以外をあげている者や、「実益」があるならば不実施補償の免除や減額を行ってもよいと考えている者がいることが確認された。