タイプフェイスの著作権保護 -日中判例の比較を通じて-

知的財産研究科修了生

日本及び各国におけるタイプフェイスの保護に関する法制及び国際条約を紹介するとともに、日本(ゴナ書体事件)と中国(倩体書体事件)の判決を通じて、日中両国のタイプフェイスに対する著作権性の判断基準と考え方について比較する。そのほか、単字に対する保護の可能性や権利制限のあり方について検討する。その結果、日本は、美術著作物より緩やかな基準を採用しつつ、印刷の通常の過程での使用は許諾を要しない旨の規定を導入すべきであり、また、中国はタイプフェイスの特質に即した保護要件や権利内容・制限を整備すべきである旨提言する。