用途発明の新規性について

知的財産研究科修了生

本稿は、東京高裁平成18(行ケ)10227号審決取消訴訟事件を取上げ、用途発明の新規性について分析した。その結果、用途発明の要件である「当該物が新たな用途への使用に適することを見いだし」ているかということと「未知の属性を発見」しているかということとに、一部混同が存在しているとの結論に達した。そして本判決をつきつめれば、「新たな属性を発見しその属性を利用しさえすれば、それが新たな用途を見出している」というように捉えることができ、結局のところ「技術的思想が異なれば、異なる用途」であり、別発明とすべきということが、新しい用途か否かの判断基準になり得るという結論に至り、当該判断基準の法的妥当性を検討したものである。