進歩性判断における後知恵について

 最近、進歩性判断に関し、EPOのcould-would approachを惹起させる「回路用接続部材事件」、「切替弁事件」、「エァセルラー緩衝用シート事件」及び「キシリトール調合物事件」の4件の判決が出た。これは出願人にとって有利な判決である。
 本稿では、進歩性判断が厳しかった時代の「使い捨てマスク事件」や「半割り式研磨ロール事件」の2件、ターニングポイントとなったと言える「紙葉類識別装置事件」、そして、上記4件の計7件を取り上げ検討し、進歩性判断の変遷を分析・研究した。また、上記4件の判決における考え方を形式的に適用した場合の危険性についても指摘した。