均等論における第1要件について

田中 智弘

 均等論は、特許侵害訴訟において主張される理論の1つである。しかし、裁判所が「均等の範囲である」と認められた判例は少ない。これは、均等論の認められる要件が不明確であることが原因であると考える。そこで本論文は、最高裁判決「無限摺動用ボールスプライン判決」において示された均等論における第1要件(非本質的部分)の明確化を試みること、すなわち、均等論の第1要件に示されている「非本質的部分」とは何を指すか、どのように抽出されるのかについて考察すると共に、第2要件(置換可能性)との関連性、すなわち、第1要件と第2要件とのダブルチェックの問題に関して考察を行った。