本論文では、進歩性の判断基準における日中比較研究の結果を纏めたもの である。両国の審査基準の相違点の主なものを挙げれば、まず、主引用例の確 定の違いがある。次に、両国ともに審査基準でカーボンディスクブレーキの例を 挙げているが、両国ではその引用目的が異なっている。そして、効果の参酌の 重要性でも両国間に相違がある。最後に、後知恵に対する態度が、日本と中国 の審査基準において大きく違っている。これらの相違点を、適宜、判例を用いて 比較することにより、中国と日本の審査基準の発展と改善の方向性を検討する。 このように、各国の知的財産制度の相違を認識し、国ごとに最適な方法で自ら の発明の保護を図ることが重要である。