禁反言原則の日中比較研究

張 立岩

日本では最高裁判決により均等の適用要件が提示され、権利解釈の一指針 が明らかにされたが、中国では最高人民法院の司法解釈で均等の原則の適用 を必須の判断事項として肯定し、禁反言の原則の適用により特許権の保護範囲 の限定解釈を前提にし、均等論の適用も含め、構成要件の対比の下に特許権 の保護範囲を判断する方向を示した。本論文は、禁反言の原則の立場から日本 および中国の禁反言の法理、適用の実体を検討し、日中の権利範囲の解釈に 存在する相違の発生原因が弁論主義対職権探知主義に起因することを示し、日 本で権利侵害とされたケースが中国でも同様に判断されるのかを検証できるよ うにし、日中知財活動の助けとなることを企図する。