進歩性判断における課題解決アプローチについて

古 舒珊

 各国における発明の進歩性判断において、発明の課題が重要視されつつある。本論文では、主要各国の判断基準や日本の判例を比較・分析したうえで、日本における課題の考え方と進歩性判断のアプローチのあり方について検討した。その結果、当該判断において、課題が大きな役割を果たすこと、当該課題は出願人の認識する課題に拘束されるべきではないこと、当該課題は主引用例に記載されている必要はないことを指摘した。また、日本における進歩性判断の手法は、EPO形式の課題解決アプローチに固定すべきことを提言した。その際、課題の過度の上位概念は慎むべきこと、後知恵で判断すべきでないことに留意すべきであることを併せて指摘した。