ハーセプチンの事例に基づく抗体医薬品の特許保護についての考察

知的財産研究科修了生

抗体は、一定の構造と機能を有することから、クレームにおいて通常のタンパク質では認められない機能的表現のみによって、抗体自体を特定することが認められている。それゆえ権利取得にあたっては特有の問題を有する。当該問題については、クレーム表現や拒絶理由とその克服例等の観点から既に調査・研究がなされており、それらの成果はすでに公開されている。しかしながら、特定の抗体医薬品について、いかなる特許保護がなされているかについて論じた報告は未だ公開されていないのが現状かと思われる。そこで本稿では、ハーセプチンを事例として、抗体医薬品の特許保護が如何にしてなされているのかについて、調査・考察を行った。