iPS細胞に関する京都大学とバイエル社の特許出願の比較に基づく権利範囲についての一考察

坂本 輝路

体細胞に4種の転写因子(Oct3/4, Sox2, Klf4およびc-Myc)を導入し、体細胞のリプログラミングを引き起こすことにより作製した、ES細胞様幹細胞である「iPS細胞」は、京都大学の山中伸弥教授によって世界に先駆けて発表された人工多能性幹細胞である。 バイエル社によるヒトiPS細胞の作製が京都大学よりも先行しているとの指摘がある。 そこで本研究では、ヒトiPS細胞技術の特許の重要性に鑑み、バイエル社によるiPS細胞が先行しているとの指摘について検討を行い、京都大学が取得したiPS細胞技術に関する特許第4183742号の権利範囲にヒトiPS細胞技術が含まれるのか否かについて検討し、iPS細胞技術に関するバイエルの出願と京都大学の出願の比較検討を行った。