医薬品等特許期間延長制度の最大5年の制限に関する考察

知的財産研究科修了生

我が国の特許法は、その特許権の存続期間を出願から20年と定めている。しかし、医薬等一部の分野については、他の法の規制により実質的に権利を実施可能な期間が短縮されてしまうという問題から存続期間を最長5年延長させるものとして存続期間延長の制度が設けられており、これにより損なわれた特許権の実質的な回復を行っている。しかし、医薬品分野における2010年問題が騒がれ、後発医薬品が政策的に推奨される現在においてこの5年という期間は長い期間かまたは短い期間なのかという疑問が生じる。本稿では、同制度の設定の背景や運用の基準、諸外国との比較、医薬品業界の現状等からこの疑問について考察するものである。