著名商品等表示におけるダイリューションからの保護手段のひとつとしての保護擬制の可能性とその活用について

知的財産研究科修了生

日本には主要国のようなダイリューション防止法が存在せず、特に著名な商品等表示については不正競争防止法に委ねられている。同法を適用した訴訟での勝訴により当事者以外の第三者に対しても著名商品等表示について、事実上対世効のような効果(保護擬制)を有している。現段階では、日本の商標法に即座にダイリューション防止法規定を作成することには否定的であるが、ドイツの通用商標権制度の導入を検討した。保護擬制の活用については、判例考察の結果、一定程度効果を期待できると推察し、著名標章を有する企業が、当該著名標章に類似するものや略称等を含む商品等表示については網羅的に商標登録するのではなく、保護擬制の活用が抑止力として有効であり、ダイリューションから保護するための対応策のひとつとなる。