パブリシティ権の再考

知的財産判例研究修了者

パブリシティの権利は米国において発展した経済的権利の概念であり、わが国においては、「人がその氏名、肖像、その他顧客吸引力のある個人識別情報の有する経済的利益ないし価値を、排他的に支配する権利」とされている。近時、パブリシティ権の対象は物などに拡大しつつある。わが国において物のパブリシティ権は消極説が有力であるが、現代における取引の現状からして、何らかの保護が必要になるものと考える。そこで本稿は、パブリシティ権がいかに認められ発展したかを概観し、一般的なパブリシティ権についてのみならず、わが国において物のパブリシティ権が認められうるか憲法的観点から考察し、権利可能性を見出すことを目的とする。