本学知的財産研究科では毎年2名の大学院生を選抜し本学が費用を全面的に負担することにより、 米国シアトルのワシントン大学高等知的財産研究センター(CASRIP: Center for advanced study and research on Intellectual Property)が開催する 3週間の夏期集中講義に派遣しています。 今年は、大学院2年生の小沼良平様(日本国弁理士)、羅巍(ラギ)様(中国弁理士)が参加されました。 参加した感想などについてお二人にインタビューした内容をご紹介します。(2015年12月18日)

1.このプログラムへの参加を希望した理由をお聞かせください。

(小沼)
米国の知的財産法を理解したかったのがこのプログラムを選んだ理由です。 著名な教授の方がいるということなので、米国知財法について直接受講する よい機会だろうと思ったのです。

(ラギ)
私は、日本に来る前に中国の法律事務所で働いていました。 当時扱っていた特許出願のうち9割が米国からの国際特許出願でした。 このプログラムをきっかけに、米国の知的財産法の全体像を理解した上で、 特許法の位置づけ、権利化までの手続及びその対応、権利の活用といったことを より深く理解したいと考えたのが、希望理由の1つです。 また、日本人ではないのですが、将来日本の企業のために 海外特許出願に関する仕事もやりたいと考えているのも、1つの理由です。

2.CASRIPの講義を受けた感想をお聞かせください。

(小沼)
各国から知的財産に関わる方が数多く参加していました。 学生、弁理士、弁護士、判事の方など様々なお仕事をされている方がいて、 いろいろなお話を交わすことができ触発されました。 日本ではあまりされていない、発明とは何か?という基礎的な事柄について、 米国では真剣に議論がされていたのには驚きました。 あらためて特許について考える良い機会だったと思います。

(ラギ)
IP業界最前線で活躍している弁護士、判事の方の生講義を受けて、 実務最前線で戦うのが経験の積み重ねに一番役立つという 自分の考えを再び確信しました。 そして、はじめて弁護士になりたいと思うようになりました。 この二週間で米国のロースクールでの学習生活を体験することができ、 将来米国のロースクールに留学するとも考えています。 国際的に活躍できる知財専門家を目指して頑張りたいと思うからです。

3.この経験はお二人の今後の経験にどのように役立つと思いますか、 また、役立てたいと思いますか?

(小沼)
このプログラムの受講にあたっては、米国の判例に多く触れることとなりました。 この機会を通じて、出願明細書や判例について英語によるものも拒否反応がなくなり、 外国出願への対応力が上がったと思います。

(ラギ)
今後の仕事に有益な知識基盤やネットワークを築くことができたと思います。 このプログラムを通じて学んだことは、決して本を読むだけで得られるものではありません。 そして、日本人の方々が助けてくれて、日本との絆もさらに深まってきたように思います。

4.その他、現地での生活面などについて感想をお聞かせください。

(小沼)
このプログラムを通じて、約3週間という比較的長い期間にわたり 米国(シアトル、首都ワシントン)に滞在しました。 講義の合間に催されたウエルカムパーティや交流会等を通じて 多くの方と面識を持つことができました。 また、米国特許庁(USPTO)や連邦巡回控訴裁判所(CAFC)の見学もでき、 色々な面で深く米国を知ることができたと思います。

(ラギ)
Safeco Fieldではじめてマリナーズ(Seattle Mariners)の野球観戦をして、楽しかったです。 そして、現地事務所の主催したreception partyで、元CAFC首席判事のRader先生の Live Band Showも見しました。 大学時代のモットだった「Study hard, play hard」という言葉も思い出しました。