概 要
「発明」の定義及び通常の研究開発のプロセスからして、「発明」の進歩性は、構成のみから判断するのではなく、目的(課題)、構成、効果から総合的に判断すべきである。その意味で、進歩性欠如とするためには、構成の容易想到性のみでは十分ではなく、解決課題の設定の容易性も必要となる場合があるとする今回の判示は妥当と考える。しかしながら、出願人の認識する主観的な課題を偏重することは適切ではない。「異なる課題」であっても、それにより当業者が容易に本願発明と同一の構成に辿り着くのであれば、本願発明の構成の容易想到性は成立するとする従来の考え方は、本願発明の課題に対応する効果の評価をも全うするのであれば、客観的な評価として十分に説得力がある。また、発明の進歩性の有無は、その発明を理解した後でなければ評価できないという意味で必然的に「事後の評価」となるところ、それと「後知恵」を混同し、本願発明の課題の立証を硬直的に捉えるべきではない。
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