●葉 志堯「進歩性判断における「容易の容易」について」・知的財産研究 大阪工業大学 大学院 No. 5, pp. 453-558(2009年5月)
[概要]本稿は東京高裁平成14(行ケ)第259号審決取消請求事件を取り上げ、「上位概念化」、「容易の容易」と「効果の参酌」三つの観点から本判決の進歩性判断の妥当性について検討した。「上位概念化」と「効果の参酌」についての判断は妥当である。一方、「容易の容易」については、一見「容易の容易の容易の容易」の4段階を踏むものであるが、分析すると、実は一つの容易に更なるもう一つ技術手段を付加して、二つ「容易」を積み重ねて二段の論理付けを行っている。しかしながら、「全体としても容易」とするに必要な理由も証拠も充分ではないため、進歩性なしとするためには、説明不十な判断であることを指摘した。
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主な大学院生修士論文

●道下 和明「進歩性判断における発明の認定に関する考察 −平成17年(行ケ)第10707号審決取消請求事件(知財高裁平成18年3月27日判決)」・知的財産研究 大阪工業大学 大学院 No. 1, pp. 309-368(2007年5月)
[概要]特許法29条2項で規定する進歩性の判断においては、その前提として本願発明と引用発明の的確な認定が必須となる。これらの認定において留意すべき事項として、前者ではリパーゼ判決における「一義的に明確」か否か、後者では抽出技術が出願時の技術水準に照らし単独で認定可能か(或は「後知恵」か)があるが、本報告書では、取上げた事件の上記認定につき、両留意事項に関して問題が存在することを指摘している
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●山本 博之「車椅子事件における進歩性判断に関する考察」・知的財産研究 大阪工業大学 大学院 No. 3, pp. 405-449(2008年5月)
[概要]実用新案法における考案の登録要件の1つに進歩性が挙げられる。この進歩性の判断基準は、抽象的であり、さらに判断すべき技術分野も多岐に渡るために類型化することが困難である。その為、一律な判断を行いにくく、その判断を行う審判官や裁判官にとっても難解な問題である。さらにその下された判断の妥当性を巡り、特許庁及び司法の内外において様々な議論が絶えない状態である。本報告書においては、上述した考案の進歩性判断を争点としている、平成17年(行ケ)第343号審決取消(実用新案)請求事件の第3次判決について取り上げ、当該判決にて行われた進歩性判断の妥当性及びその周辺の諸問題について考察する
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川内 英主「コンピュータソフトウェア及びビジネス方法関連発明の保護適格性に関する考察」・知的財産研究 大阪工業大学 大学院 No. 9, pp. 61-113(2011年6月)
[概要]現在に至るまでコンピュータ・ソフトウエアやビジネス方法関連発明の保護適格性についての判断に関しては、世界中で多くの議論がなされてきているが、いまだ見解が統一されるには至っていない。このような中、近年、米国のBilski事件や欧州のEPO拡大審判部への付託(G03/08)が大きく取り上げられた。本稿では、これらの事件を背景として、コンピュータ・ソフトウエア及びビジネス方法関連発明の保護適格性について考察を行った。当該考察に当たっては、日本・米国・欧州(EPO)における現在までの審査基準・運用を確認し、またこれらを比較したうえで、保護適格性のあり方の検討を行い、今後どのような審査基準・運用がなされるべきであるかを考察した。
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●光寺 弘至「サブコンビネーションクレームに関する考察」
[概要]本報告書では、サブコンビネーションに係る平成17(行ケ)10220号審決取消訴訟事件判決を取り上げた。発明とはその構成及び解決する課題から認識されるものであるとの大前提のもと、判決では、本事件は特許法36条を満たすと判断した。しかしながら、サブコンビネーションクレームは、本来、そこに記載された構成のみではコンビネーションの発明の課題を解決することができない。したがって、上記大前提のもとでは、サブコンビネーションクレームは、特許法3661号の要件を満たさないものであり、当該クレームは実質的に間接侵害で保護するのが我国の法制であるとの結論に到らざるを得ない。
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