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「SE能力開発のためのスパイラル型情報教育」により得られた成果を広く社会に告知・還元するため、情報科学部では平成23年11月16日に「次世代を担うシステムエンジニアの育成に向けて」と題したシンポジウムを開催しました。

大学における創造的SE教育シンポジウム

フライヤー(クリックで拡大)このシンポジウムでは、大学におけるSE能力開発の課題と今後の展望について、この分野における有識者の方々にお集りいただき、関係者相互の議論を深めるための基調講演とパネルディスカッションを企画しました。

基調講演では (株)イノベーション研究所 代表取締役社長 西岡郁夫 様に登壇いただき、「良いIT、悪いIT」と題してご講演いただきました。西岡様は、長年のご経験をもとに現代のITシステムの設計思想のあるべき姿やエンジニアが果たすべき役割に言及され、示唆に富んだ興味深いお話を伺うことができました。

続いてパネルディスカッションに入り、まず本学 情報科学部 佐野睦夫教授、および藤井研一教授から本学での取り組みの具体的内容とその成果が報告され、次にパネリストの皆様がそれぞれ学識経験者の立場から、産業界の立場から、またエンジニアを採用する立場から本取組に関連するお話をスピーチいただきました。その後、コーディネータの小堀研一教授の司会により、会場からの質問を交えて多岐にわたる討論が繰り広げられました。

シンポジウムには 346名の皆様にご参加いただき、盛況のうちに会を閉じることができました。

基調講演基調講演パネルディスカッション

シンポジウムでの討論概要

シンポジウムでは、基調講演に引き続き事例紹介を含めたパネルディスカッションが行われました。その概要をご紹介します。

  • 基調講演で西岡郁夫氏は、携帯電話のように大変便利なITでも「使われ方、運用によっては良くも悪くもなる」という点を具体的な実例を交えてお話しされました。また、利用者の人間性を無視したCTI(Computer Telephony Integration)システムや、使う人の立場を考えていないITシステムなどを例にとり、今後のIT技術のあり方や、ITシステムの開発に取り組む技術者育成の重要性について言及されました。

  • 引き続いて「情報科学部での取組みと事例紹介」として情報メディア学科 佐野睦夫教授が登壇し、本プログラムにおけるスパイラル型教育の概要、および各年次で実施した特徴的な諸活動について報告を行いました。これらの活動の結果、伝える力・傾聴力・プレゼンテーション力等の向上、アイデアの集約・分析等の問題解決能力や論理展開能力等の向上が見られた点が報告されました。また、チームとして開発を進める時の連帯感や責任感が醸成されるとともに、開発者自らが利用者となってシステム改良のためのPDCAサイクルが形成されるなどの効果が現れているとの分析結果を披露しました。さらに技術者として仕事に取り組む気構えや、業務遂行能力を高める必要性などを学生が体得しているとの報告を行いました。

  • 次にコンピュータ科学科 藤井研一教授が登壇し、初年次教育における各種の取組みについて報告しました。これらの活動の結果、科学的知識に対する深い理解が進み、コンピュータ処理への関心を喚起したことが紹介されました。また数式や数学を用いた課題解決能力の向上や数学に対する興味・関心が高まり、コンピュータを利用した作業・処理に対する関心が醸成された結果、製作過程・手順の理解、役割分担、スケジュール管理等の業務遂行能力の向上が期待でき、少なくとも自発的に取り組む学生の増加は実感しているとの報告がありました。

  • パネルディスカッションでは、外部の有識者のご意見として大阪大学 楠本真二教授から、「3つの能力の段階的に達成するアプローチは理にかなっており、学部教育にうまく取りくんでいると感じている。今後の課題としては、プロジェクト終了後も新しい取組みだけでなく、従来からの授業科目や活動も地道に継続することが肝要」とのご指摘がありました。またオージス総研の宗平順己氏から「様々なパーツを迅速に組み合わせるSOA(Service Oriented Architecture)型のシステム開発を実現するためには、社員の文化、考え方を変えるように働きかける人材の育成が必要であり、本学で取り組んでいる3つの能力の育成はその方向に沿ったものである」とのご指摘がありました。さらにシャープビジネスコンピュータソフトウェア社の藤井香織氏から「自分で答えを導き出すことを重視した体験型の教育は共感でき、学生が意識しないうちに基本的な能力が身に付いているという教育は評価できる」とのご指摘がありました。

  • 一方、シンポジウムのフロアからは「企業に望まれている実践的、課題解決能力の教育は大事であるが、学問的な基礎知識の向上との兼ね合いは如何か?」との質問がありました。これに対して宗平順己氏より「応用力は会社に入ってからでも教育できるので、基礎力な学力やディベート力等を大学でしっかり教育したうえで、実践的な教育をしてもらいたい」というご指摘をいただきました。また、西岡郁夫氏より「比較的退屈な基礎的・学問的な講義内容でも、実践的な取組みによってその意義を理解できることがあり、実践を組み合わせた本プロジェクトの取組みは興味深い」とのお言葉をいただきました。

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