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大阪工業大学 情報科学部 宇宙物理研究室 2006年度 卒業研究

「特殊相対性理論における光のドップラー効果」

情報システム学科 氏名 江本 賢泰

2007/2/15 作成

概要 / 目次 / 卒業論文、プログラム/

概要

 本研究では、私たちの日常扱うスケールでの有効な理論であるニュートン力学と、光の速さに近い運動を正しく記述する特殊相対性理論を、ドップラー効果で比較する。
ニュートン力学では、速度の遅い物理現象を扱う場合には十分に役に立つが、素粒子のように光速に近い速度で動く現象を計算できなかった。しかし、アインシュタインの特殊相対性理論によって光速に近い運動を表すことが可能となった。
 ドップラー効果とは、音波や電磁波などの波の周波数が、発生源や観測者との相対的な速度によって、周波数が異なって観測される現象である。光の場合、遠ざかる光源からの光は赤く変化し、近付く光源からの光は青く変化する。これを一般に赤方偏移、青方偏移という。しかし、光の伝播は特殊相対性理論に従うため、ニュートン力学におけるドップラー効果とは違った現象を見せると考えられる。観測者の視線に対して光源が角度θの位置にあるときのドップラー効果は横ドップラー効果と呼ばれ、 となる。
 Java言語を用いたアプレットで、発光体の周波数、発光体の移動速度、観測者の移動速度の3つの値を入力して実際にどのように見えるのか表示するプログラムを作成した。ニュートン力学と特殊相対論におけるドップラー効果のアプレット実行結果を示す。その結果、図1より光速の40%まではニュートン力学は特殊相対論とほとんど同じであるが、運動体速度が光速に近づくにつれて、特殊相対論を用いた場合の方がドップラー偏移は大きくなることが示された。また、光速の50%で可視光領域は見えなくなり、赤外線領域だった不可視光線が可視光となる事が考えられる。
 横ドップラー効果については、視線速度が大きい中心ほど青方偏移が起こる。また、図2では光速の50%で飛ぶロケットからみた景色であるが、視線の90°方向(真横)で赤方偏移が起こり光速の60%付近から赤方偏移により可視領域外へ偏移する。中心は青方偏移により紫外線領域へと偏移する。このように、見えている景色が虹色に変化する「StarBow」現象が結果として得られた。

図1
図2

目次

  1. 序論
  2. 特殊相対性理論
    1. ガリレイ変換
    2. ローレンツ変換
  3. 速度の合成と光行差
    1. ニュートン力学における光行差
    2. 特殊相対性理論における光行差
  4. 光行差の可視化
    1. 見上げる星が一つの場合
    2. 見上げる星が複数の場合
  5. まとめ

卒業論文、プログラム

  • 卒業論文(pdf)
  • 見上げる星が一つの場合
  • 見上げる星が複数の場合(オリオン座)
    氏名   2007年4月からの所属先 (株)○○
    2007年4月からの連絡先 xxx at gmail.com