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大阪工業大学 情報科学部 宇宙物理・数理科学研究室 2007年度 卒業研究

「古今の星座の違いを示す星図アプリケーション」

学籍番号:C03-044 氏名:河津 秀明

2008/2/29 作成

概要 / 目次 / プログラム、卒業論文/

概要

 本研究では、現代、古代日本、古代中国での人々が夜空に描いていた星座の対応比較を容易に行える教育教材アプリケーションの開発を行った。開発の目的は、天文学を通して日本の文化に触れることと、誰にでも扱うことの出来るアプリケーションの作成である。特に、天文学の基礎知識のない小学生の高学年から中学生の利用を想定し、操作のしやすさを念頭にした。また、3つの異なる地域や時代の星座の比較で、文化的背景まで楽しめるものを目指した。
本研究で古代日本の星座は、高松塚古墳の星宿図を参考にした。高松塚古墳は、奈良県明日香村に存在し、694〜710年にかけて築造された二段式の円墳である。最古の星図と呼ばれる28星座がある。古代中国の星座はトルファンにあるアスターナ古墳群の三八号墓の発掘物を参考にしている。こちらも同様に28星座がある。6〜7世紀に繁栄した高昌国時代の貴族の古墳である。現代の88星座は、メソポタミアからギリシャに伝わったものである。紀元前の1300〜1000年頃に考えられた。
アプリケーション開発にはAdobe社の「Macromedia Flash8」を使用した。Flash8では、低容量かつ視覚効果のあるファイル作成ができ、Web公開も容易である。描かれている星はBSC5P - Bright Star Catalog* から‐1.46〜4.6等までの1001個の星のデータを加工することにより表示した。
画面構成は、星空を描くディスプレイと、それを操作する右側に配置したボタンからなる。図1に操作画面を示す。スタート時の画面はメルカトル図法で赤経・赤緯座標を取った星が描画される。また、北極星を中心とした円形座標表示ボタンや、任意の箇所をクリックすることにより、表示サイズを4倍に拡大する機能や、星座線や星座名を現代・古代日本・古代中国の3種類に切り替えるボタンも備えている。図2に例としてオリオン座の比較を示す。
アプリケーションの開発を通じて、古代の星宿は太陽の通り道である黄道に沿って作られていたということが図1より再認識され、現代の星占いで使われている星座と対応することが分かった。また、作られた場所や観測された場所が違っても明るい星や特徴的な色の星は必ず星座として使われている。
卒論では、星座の起源や変遷について調べたものを付記している。

*http://heasarc.gsfc.nasa.gov/W3Browse/star-catalog/bsc5p.html

図1
図2

目次

  1. 序論
  2. 現在の星座の起源
    1. 現在の星座
    2. 起源
    3. メソポタミアからギリシャへ
  3. 古代日本の星座の起源
    1. 古代中国が起源の星座―星宿
    2. 古代中国の地上と天上
    3. 日本へと伝わる星座(星宿)
  4. 星宿図解説−高松塚古墳の天井画から
    1. 天井画・壁画の意味
    2. 分野説について
    3. 古代中国の星宿と西洋現代の星座の対応
  5. 星図アプリケーション解説
    1. アプリケーションの概要
    2. データベース構築
    3. 使用した古代・現代の星座
    4. 座標
    5. 各操作ボタン
    6. 星座名の抽出・配置・表示
    7. 拡大表示機能
  6. 比較による結果
  7. まとめ
  8. 参考資料
  9. おまけ

アプリケーション、卒業論文

  • 星図アプリケーション(横幅900pixel)
  • 星図アプリケーション(横幅1350pixel)
  • 卒業論文 [pdf] (1.6MB)
  • 「天文教育」誌 投稿原稿 [pdf] (1.5MB) (「天文教育」誌 2008年5月号掲載)

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