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大阪工業大学 情報科学部 宇宙物理・数理科学研究室 2013年度 卒業研究

泡の合体と成長

情報システム学科 井原 貴幸

2014/3/4 作成

概要 / 目次 /

概要

石鹸やビールの泡を初めとし,我々は日常の中でよく「泡」を目にする. しかし一方で,泡の構造を知るための教材やシミュレーションできるツ ールが身近にない.そこで本研究では,さまざまな泡のモデルを作成・改良し, より簡潔で取り扱いやすい泡のモデルを追求した.

まず,ボロノイ図による泡の表現について取り 組んだ.そこで,ボロノイ図を用いたモデル(モデル1)がおおまかに泡の 形を成していること,一方で泡が持つ曲線をうまく再現できていない点を確認した.

ボロノイ図を作成するアプレット.

黄緑色の点 → ボロノイ点の母点 赤色の線 → 境界

(クリックで、任意の場所に母点を追加できる.)


次に,運動方程式を適用したシャボン玉の泡モデルを作成した.シャボン玉が つねに球状で,大気とつりあうまで膨張・収縮するという仮定から、気体の状態方 程式から運動方程式を定義した.さらに、泡の水滴部分の厚さが一定の値を下回っ たとき,泡が破裂するものとした.この モデルにより、加速度$a$を持った半径$r$の増減を得る結果を得ることができた. 速度$v$に比例する抵抗力を含めると,シャボン玉の半径$r$が次第に落ち着いていく 結果を得られた(図1).

図1:次第に落ち着いていくシャボン玉


多数の泡の合体を具体的に表現するために,個々のシャボン玉の半径を解きながら, 初めに作成したボロノイ図モデルの考えを組み合わせた新たなモデルを作成した. 3つ以上のシャボン玉が接合した場合,ボロノイ図における ボロノイ点を基点とした境界線を考えるという工夫を取り入れた.論文では,境界面を結ぶ線は, ボロノイ点によって決定するロジックを許述する.現実に存在する四角いシャボン玉もこのモデルを用いて再現できた.

複数の泡のぶつかりと泡の成長を考慮したアプレット.

P0 = 泡の初期の圧力
T = 温度の変更
(クリックで、任意の場所に泡を追加できる.)



目次

  1. 序論
    1.1 背景
    1.2 研究の目的
    1.3 論文の構成

  2. モデル1:ボロノイ図による泡の表現
    2.1 泡の構造
    2.1.1 ドライフォーム
    2.1.2 ウェットフォーム
    2.2 ボロノイ図モデル
    2.2.1 ボロノイ図
    2.2.2 シミュレーション結果
    2.2.3 モデル考察

  3. モデル2:気圧差変化を一定とする泡の膨張・収縮
    3.1 モデル概要
    3.2 シミュレーション結果
    3.3 モデル考察

  4. モデル3:泡の膨張収縮に運動方程式を適用
    4.1 圧力の押し合いのみのモデル
    4.1.1 前進Euler法
    4.1.2 モデル概要
    4.1.3 シミュレーション結果
    4.1.4 モデル考察
    4.2 速度による抵抗を含むモデル
    4.2.1 モデル概要
    4.2.2 シミュレーション結果1
    4.2.3 シミュレーション結果2
    4.2.4 モデル考察

  5. モデル4:泡の収縮にボロノイ点を利用した泡どうしの複合
    5.1 モデル概要
    5.2 ボロノイ点
    5.3 シミュレーション結果
    5.4 四角いシャボン玉のシミュレーションとその結果
    5.4.1 四角いシャボン玉とは
    5.4.2 条件の決定と結果
    5.5 モデル考察

  6. モデル5:泡間の圧力差による境界の変化を考慮したモデル
    6.1 モデル概要
    6.2 二分法
    6.3 シミュレーション結果
    6.4 モデル考察

  7. まとめ
  8. 参考文献


卒業論文

  • 卒業論文 [pdf]