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第1回「天文と文化」企画展

天文文化学へのいざない ~ 過去,現在,未来をつなぐ星たち ~
Cultural Studies of Astronomy — Stars linking our past, present, and future —

展示会概要 / ポスター,リーフレット / 展示内容 / リンク / メンバー


展示会概要

 夜空に輝く星々は,人類の誕生以来,人々を魅了し,知的好奇心を喚起させてきました.暦をつくるために太陽や月の運動が利用され,奇妙な動きを見せる惑星の運動は星占いに利用されました.星空が私たちに与える印象は,世界各地で独自の宇宙観を形成させ,さまざまな宗教を創出しました.そして,天体の運動を解明する努力が,自然現象に対する科学的なアプローチを確立させました.
 天文現象は,実用的な学問の他にも,生活に潤いを与える多くの芸術(文学作品・美術作品・建造物など)を生みだしてきました.私たち大阪工業大学のグループは,文化遺産の中に見られる「天文」を軸に据えて,人々の探求心や文化伝承を,思想的な,そして科学的な視点から取り上げる「天文文化学」の学問を提唱します.
 企画展ではこの新たな学問分野の可能性をお伝えし,みなさまと情報を交換し合う場が広く発展していくことを願っています.



開催案内ポスター 開催概要リーフレット


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展示内容

会場レイアウト  

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0.天文文化学へのいざない

I.美術品にみる天文学

 平安時代の中頃,密教は〈星曼荼羅〉という作品を創作しました.江戸時代に描かれた星曼荼羅の構図や天体の表現も,平安時代以来の基本的な表現を踏襲し,星への信仰を伝えています.江戸時代に制作された世俗絵画のジャンルにも天体を描く作品があります.併せて紹介します.

Ⅱ.文学作品にみる天文学

 鎌倉時代に「冬の星の美しさ」を詠んだ建礼門院右京大夫の和歌が和歌集に入集されことにより,星の文学史が大きく変わりました.室町時代には『法輪寺縁起』の明星信仰をふまえた『恋路ゆかしき大将』が作られました.ここでは和歌・散文・漢文それぞれの「星の文学史」をたどります.

Ⅲ.言語学からみる天文学

 江戸時代の日本において,天文関係の語彙は方言も含めて多種多様な広がりを持っていました.しかし,明治時代になると,教育制度を整える政府の方針の下にしだいに統一され,現在の私たちが使用しているものへと定着していきます.今回は,その過渡期の状況を提示します.

IV.学問の受容プロセスと天文学

 鎖国をしていた江戸時代,西洋科学は中国経由か蘭書経由でしか日本に伝わりませんでした.ニュートン力学は提唱されてから100年以上遅れて日本に伝わりました.西洋科学の理解に携わった江戸時代の学者たちや,明治以降の窮理熱ブームから,日本人の科学に対する認識を理解することができます.

V.工芸品にみる天文学

 天体観測や占星術のために世界中で様々な観測機器が発明されてきました.初めは「機器」として利用されていたものも,人々の生活に取り込まれるようになると,必然としてそれらの持つ装飾的要素が花開きます.そして,優雅に,洗練され,ひとつの工芸品として昇華していったのです.

VI.現代天文学における謎

 現代の天文学・宇宙物理学者は,見えていないものを発見するのが仕事です.138億年前に誕生した宇宙で,どのように星や銀河が形成されたのか,暗黒物質は何か,暗黒エネルギーは必要なのか.....人類の探究は尽きることがありません.


リンク


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