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第23回天文文化研究会
The 23rd Workshop on Cultural Studies of Astronomy

2022年6月19日(日)June 19, 2022 (Sun)
ハイブリッド形式,対面(大阪工業大学梅田キャンパス)あるいは ZoomとSlackを利用
Hybrid style (in person at Umeda Campus OIT, also in Zoom & Slack)


プログラム Program  確定版です 
6月19日
9:55松浦清
Kiyoshi Matsuura
ご挨拶 Greetings
天文文化学序説--分野横断的にみる歴史と科学」(思文閣,2021)出版のご報告
Focus Session 「江戸から明治にかけての文献から探る天文文化」
10:00--11:00 嘉数次人
Tsuguto Kazu
(大阪市立科学館)
【60分講演】江戸幕府の紅葉山文庫と幕府天文方(オンライン)
概要: 江戸幕府には、将軍の御文庫(紅葉山文庫)が設置され、貴重書などが収蔵されていた。蔵書の中には天文書も含まれていたことは、現存する蔵書目録『重訂御書籍目録』などから知られている。
これら御文庫の蔵書は秘蔵されている印象もあるが、実際は幕府の業務にも利用されており、天文方も御用に際して蔵書を借用している。今回は、蔵書目録や書物奉行の執務日誌である「書物方日記」などを通じて、紅葉山文庫にはどのような天文書があったのか、また天文方はどのように利用していたのかを紹介する。

11:00--12:00米田達郎
Tatsuro Yoneda
(大阪工業大学)
【60分講演】自転の語史 (オンライン)
概要:福沢諭吉は『訓蒙窮理図解』(1868)において、地球の自転のことを「世界は十二時の間に一廻して昼夜の分を起すといへり。されば所謂地球の私轉なるものにて」のように「私轉」を使用する。「自転」の初出は『日本国語大辞典第二版』によれば『遠西観象図説』(1823年)である。そうすると「自転」が定着する過程の中に「私転」があり、両語がせめぎ合った結果「自転」になったと予想される。
 本発表では、「自転」が定着するまでの過程を考察することによって、理科学用語の発展する様相の一つを明らかにしたい。
12:00--12:15玉澤春史
Harufumi Tamazawa
(京都大学/京都市立芸術大学)
NDL Ngram Viewerを用いた天文文化研究の可能性(会場)
概要:2022年5月に公開されたNDL Ngram Viewerは国立国会図書館デジタルコレクションで 公開されている図書資料約28万点のOCRテキストデータを利用したものであり、 近世・近代における日本語資料研究を質的に変化させる可能性が高い。 例えば天文分野以外の書籍における天文の記述に対しての検索も使用可能であり、 今回はテストケースとして明治期の天文用語資料の 他分野における利用状況を紹介する。
1215--12:20大西浩次
Koji Ohnishi
(長野高専)
【アナウンス】「諏訪天文同好会設立100周年記念シンポジウム」案のご紹介(オンライン)
xx Lunch Break
13:00--14:00岩橋清美
Kiyomi Iwahashi
(國學院大学)
北井礼三郎
Reizaburo Kitai
(立命館大学)
【60分講演】「ドナティ彗星観測記録を用いた観測技術の比較研究」(仮)(会場)
概要:本報告は、1858(安政5)年のドナティ彗星を中心に、19世紀前半の日本における彗星観測技術の比較検討を試みるものである。当該期の彗星観測技術に関する研究には、間重富・重新・重遠およびその門人たちに関するものが多く、1861(文久元)年テバット彗星などについては土御門家の観測に関する研究もある。こうした個々の事例の積み重ねが観測技術の実態を捉える上で基礎になることは言うまでもないが、近世後期の天文観測技術のあり方をトータルに捉える視点も必要であろう。そこで本報告では江戸幕府天文方・土御門家・間家の観測記録が残っているドナティ彗星を事例に三者の観測技術を試みる。また、古文書利用した科学研究においては、分析対象である古文書の史料学的な考察も研究の基盤として重要であるので、この点についても言及する。
14:00--14:30 真貝寿明
Hisaaki Shinkai
(大阪工業大学)
Focus Session に関するオープンディスカッション (会場)

Standard Session
14:30--15:00竹迫 忍
Shinobu Takesako
(日本数学史学会)
【30分講演】方位による下ツ道の建設年代の推定 (オンライン)
概要: 従来大和の3古道(下ツ道、中ツ道、上ツ道)はその形態から、同時期に建設されたと推定されてきた。しかし、前回の「北極星によ る古代の方位測量法」により、最初に中ツ道が、舒明朝において建設されたことを明らかにした。今回は、最近の藤原京内での下ツ道の発掘成果による方位の違いをもとに、同時期に建設されたと考えられていた下ツ道も、3区画3時期に分けて建設されていたことを 明らかにするとともに、それぞれの区画の建設年代を推定する。また、これは推古朝の難波からの大道の経路の推定にも影響する。
xxCoffee Break, Photo via Zoom
15:30--16:00松浦 清
Kiyoshi Matsuura
(大阪工業大学)
【30分講演】日食を描く原在明筆〈天保九如図〉について (会場)
概要: 原在明(1778--1844)は江戸時代後期の画家で、父在中が創始した細緻な装飾性を加味した写生的な画風を踏襲し、禁裏や貴族社会の需要に応えて手腕を発揮した。彼の作品〈天保九如図〉は中国古典の『詩経』に基づき、天保(天子の位)を「……の如く」という九つの自然の情景に譬えて、天子の長寿と天下の平和を寿ぐ著名な画題であるが、一般的な作例と異なり、日食とみられる描写を伴う。本図の極めて特異な表現の意図を検討する。
16:00--16:15井村 誠
Makoto Imura
(大阪工業大学)
南方マンダラと事の学について (録画)
概要: 「南方マンダラ」は、南方熊楠(1867-1941)が高野山官長の土宜法龍(1854-1923)に宛てた書簡の中に記したもので、熊楠の世界観ないし宇宙観を示すものと考えられている。この「南方マンダラ」がいったいどういうものなのか、同書簡で熊楠が言う「事の学」との関連や、いくつかの先行研究などを交えながら、試論的に考察してみたいと思う。
16:15--16:30横山恵理
Eri Yokoyama
(大阪工業大学)
『花鳥余情』における「彦星の光」注をめぐって(会場) 
概要: 『花鳥余情』(一条兼良による『源氏物語』注釈書・室町時代成立)は、『源氏物語』宇治 十帖にみえる「彦星の光」について、『万葉集』・『伊勢物語』の古歌を挙げる(総角巻)、 彦星の光に喩えられた男性についての解釈を示す(東屋巻)などして、注釈を施している。 これらの注釈は、『花鳥余情』以後に引き継がれることはなく、『源氏物語』注釈書の中でも 特異なものとなっている。本発表では、「彦星の光」への注釈内容をてがかりとして、 『花鳥余情』が宇治十帖(特に、浮舟をめぐる物語)をいかにとらえたかについて考察する。
16:30--16:40作花一志
Kazushi Sakka
(京都情報大学院大学)
平安末期の天変地異(オンライン)
概要:保元の乱の首謀者藤原頼長の天文記録、菅原道真・木曽義仲が被った日食、鴨長明が天変・戦乱よりも優先した事件などを紹介する。
17:00頃終了
17:30頃情報交換会 (会場参加で交換会参加とお申し込みされた方のみ.レストランから弁当を注文する予定です.)


2022/6/14 update