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大阪工業大学 情報科学部 宇宙物理研究室 2006年度 卒業研究

「新しい自動車排出ガス処理システムの試作と検証」

学科 情報科学学科 

A02-059 氏名 挽木 靜一

2007/2/28 作成

概要 / 目次 /

概要

 環境問題の大きな問題の一つに自動車の排気ガス問題がある。本研究は、排気ガスの中でも黒煙(NOx)に着目し、黒煙を減らすシステムを提案する。実際にシステムを試作し、黒煙の排気量を計測すると共に、数値シミュレーションにより黒煙の排出減少量を見積もった。

提案するシステムは、自動車のマフラーの改良である。マフラーの機能には、消音機能と排出ガス低減の2つがあるが、ここでは後者の機能だけを持ったシステムを提案する。構造は、従来のマフラーを直列に2重にするもので、中に直径2.5mmの穴が開いた網を2重にした非常にシンプルなフィルターを加えた。システムを以下の図1に示す。

効果の測定は、非常に黒煙を吐く車と、完全に整備が終わった状態の車の2台で行った。計測は、既存の測定器を用い、排気口から一定量の排気ガスを取り出し、それをろ紙に噴きつけ、その汚染度を光の反射率を用いて数値化した。測定の結果、新しいマフラーは黒煙排出をたしかに減少させることがわかったが、減少させる絶対量は不明である。そこで、排出ガスシミュレーションを行うことにした。

シミュレーションでは、ある一定面積を小さい正方形で細分化し、ランダムに正方形を塗りつぶしていく試行回数と塗りつぶされた面積比率を調べた。細分化する正方形の面積の大きさを変え2〜3回計算を行い、その結果の収束値を求めた。収束値を以下の図2に示す。

実際の測定結果は、光の反射率で78%から54%に低減し、24%の低減に成功している。この結果を図2から解釈すると、黒煙量は約半分になったことがわかった。これにより今回のシステムの有用性が示された。

卒論では現在の排出ガス問題の規制や制度についてもまとめた。現在ディーゼル車が再び注目され始めたため、排出ガス対策の技術が発展するだろう。また、排出ガス規制も厳しくなっていくことが予想できる。今回のシステムは非常に簡単なもの清掃可能な扉をつけるなどまだまだ改良の余地があるので、将来的には今回の結果以上の低減が可能と考えられる。

   


目次

  1. 序論
  2. 排出ガス問題とその現状
    1. 排出ガスによる影響
    2. 現在の排出ガスの規制について
    3. 現在の排出ガス規制の制度について
  3. 新しい排気ガス処理システムの提案
  4. 新しい排気ガス処理システムの効果の測定
    1. 黒煙チャート
    2. 測定方法
    3. 測定形式
    4. 計測結果
  5. シミュレーションによる排出ガス量の推定
    1. モデル
    2. 収束値シミュレーション結果
    3. 新しいシステムの効率の検証
  6. 結論・まとめ